EUオーガニックロゴに関する解説

ロゴの形状・色規定

  • 形状要素
    ロゴは、欧州旗の象徴である12個の星をイメージさせる緑色の葉が描かれた円形デザインとなっています。表示時は、ロゴ自体の形状やカラーを改変しないことが厳格に定められており、背景の透明化や3D加工などのスタイライズは禁止されています EU公式ガイドライン1.
  • 基本カラースキーム
    基本時は緑色と白の組み合わせで表示され、単色印刷の場合も同じ色調での使用が認められています.

サイズ要件

  • 最小表示サイズ
    通常は 13.5 mm × 9 mm が最小表示サイズですが、非常に小型の包装の場合は例外として 9 mm × 6 mm が許容されています EU公式ニュース2.

法的根拠

  • 主要規則
    • Regulation (EC) No 834/2007 および、その実施細則として Commission Regulation (EC) No 889/2008 が長らく基本仕様を定めていました EUR-Lex3.
    • 2023年以降はこれに代わり、新規則(EU) 2018/848 が施行され、統一されたルールの下で有機食品のラベル表示と認証が行われるようになりました EUR-Lex 2018/8484.

認証基準と生産基準

  • 有機農業の基本原則
    EUの有機認証取得のためには、環境保護・生物多様性の確保、さらには持続可能な農法に基づく生産方法が必須となります EUオーガニック認証の詳細5.
  • 原材料の使用割合
    加工食品の場合、有機原材料が 95%以上 であることが求められます。また、加工工程や流通全体にわたって厳格なトレーサビリティと記録保持が義務づけられています EU規則834/20076.
  • 禁止物質
    合成農薬、化学肥料、遺伝子組換え生物(GMO)の使用は厳しく禁止されています。また、動物飼育においては、規定された基準(放牧や自然な飼育環境を確保するなど)に従う必要があります JETROレポート7.

EUオーガニック認証のプロセスは以下のように構成されています。

  1. 農場登録
  2. 書類審査
  3. 現地検査
  4. 認証発行

この流れを具体的に図解すると、以下のようになります JETROレポート8.

!認証プロセスのフロー図9

EUオーガニックロゴと併せて、各製品には認証機関コードと原材料の生産地が記載されます。

認証機関コードのフォーマット

  • 基本フォーマット
    各国の認証機関コードは、ISO国コードを先頭に持ち、例えば日本の場合は「JP-BIO-XXX」、ドイツでは「DE-BIO-XXX」などの形式で表示されます EU規則889/20083.

原材料の産地表示

  • 分類基準
    原材料は以下の3つのカテゴリに分類され、製品には該当する表示が義務付けられています。
    • EU Agriculture:EU内で生産された原材料
    • Non-EU Agriculture / Third Country Agriculture:EU外、または第三国で生産された原材料
    • EU/non-EU Agriculture:混合の場合は、割合に応じて表示 EU規則834/20076
      ※なお、2023年の新規則では「Non-EU Agriculture」表記から「Third Country Agriculture」への変更が導入されています.

EUオーガニックロゴは、実際の商品パッケージにも広く採用されています。以下は、その具体例です。

国内外の商品例

  • 日本製有機製品
    • 有機玄米茶:例として、ラベルには「JP-BIO-005」とともに「Non-EU Agriculture」と表示されています JONAガイド10.
    • 有機醤油:同様に、認証番号「JP-BIO-145」が表示され、産地が「Non-EU Agriculture」と記載されています.
  • 欧州製品
    • オランダ産卵パッケージ:包装にはEUオーガニックロゴとともに、Beter Leven認証も併記され、飼育基準(屋内・屋外の飼育環境)が明示されています パケトラ記事11.
    • 乳製品:Zuiver Zuivelブランドなど、欧州内のオーガニック乳製品は、統一されたロゴ表示が採用されています.

表示例

  • EUロゴの規定により、ロゴは 高さ9 mm×幅13.5 mm以上 のサイズで表示され、ロゴと同じ面に認証機関コード及び原材料産地情報が記載されます JONAガイド10.

ここでは、EUオーガニック規格と他国(米国USDA、日本のJAS、中国の有機認証など)の違いを概観し、特に認証コード、原材料表示、GMO規制、監査頻度などの側面について比較します。

比較ポイント

  • GMO規制
    • EU:全てのGMO作物の栽培は原則禁止 EU規則834/20076
    • USDA:許容値は 0.9% で、一定条件下でのGMO使用が許容される(ただし有機製品としてはGMO原料の使用は禁止) サルベストロール研究会12.
  • 認証コード表記体系
    • EU:形式は「DE-BIO-XXX」など各国ごとにISO国コードを先頭に使用 EU規則889/20083
    • USDA:形式は「NOP-XXX-XXX」といった統一された番号体系
  • 原材料産地表示
    • EU:表示は「EU Agriculture」「Third Country Agriculture」または「EU/non-EU Agriculture」として、透明性の高い追跡要件が設けられる
    • JAS:「国内原料」といった表示が求められ、EUとは表示基準に差異がある MAFF資料13
  • 監査頻度
    • EU:年1回の現場検査が基本
    • 中国:一般にEUより頻繁な監査が行われる場合が多い 中国有機QA14

比較表

項目EUオーガニック米国(USDA)日本(JAS)中国
GMO規制完全禁止 EU規則834/20076条件付き許可(許容値0.9%) サルベストロール研究会12厳格(国内産原料重視)較強制的監査(頻度高い傾向)
認証コード表記DE-BIO-XXX(各国ISOコード) EU規則889/20083NOP-XXX-XXXJP-BIO-XXX JONAガイド10国内基盤のコード体系
原材料表示EU Agriculture / Third Country Agriculture / EU/non-EU Agriculture表示規定は柔軟(明確な表示義務なし)「国内原料」と表示規制により柔軟または厳格
監査頻度年1回基本州・認証機関により異なる頻度は認証機関に依存年1回~年2回(一般的に高頻度)

※各数値や条件の詳細は、各公式資料をご確認ください.

EUオーガニックロゴの歴史は1991年から始まり、以下の主要な年表が重要です:

出来事
1991年有機農業に関するEU規則が初めて制定される
2007年Regulation (EC) No 834/2007 が採択される
2008年Commission Regulation (EC) No 889/2008 採択
2018年新規則 (EU) 2018/848 が採択される

この期間を通じて、EUの有機農業基準は継続的にアップデートされ、精度と信頼性が向上しています サルベストロール研究会12.

2023年よりEUでは、統一規則「EU 2018/848」に基づく新たな有機規制が施行され、従来の規則から以下の変更点が導入されました。

主な変更点

  • 認証コードの表記変更
    従来の「DE-ÖKO-XXX」形式から、より国際的にも分かりやすい「DE-BIO-XXX」形式への移行が義務付けられました EUR-Lex 2018/8484.
  • 生産地表示要件の改正
    かつて「EU/非EU」という表記が一般的でしたが、新規則では「EU/第三国」という表現へ変更され、第三国産原材料の取り扱いが明確化されました.
  • グループ認証制度の導入
    小規模農家やグループ認証が新たに認められる制度が導入され、集団的な認証が可能になりました。これにより、個々の小規模農家の負担軽減とマーケティング支援が期待されています 西尾レポート15.
  • 新規則の移行期間措置
    移行期間として2023年~2025年が設定され、旧規則に基づく在庫や輸入品には猶予措置が設けられています。例えば、第三国からの輸入については、2025年末まで特例措置が適用され、その後は厳格なEU基準への適合が必要となります Tradveggie.org16.

追加の改正事項

  • 電子認証システムの義務化
    2025年までに、全ての有機認証品について電子認証システム(eCERTなど)との連携が義務付けられ、認証情報のリアルタイムな追跡が可能になります.
  • サプライチェーンの透明性強化
    ブローカーやトレーダーを含む全サプライチェーンの事業者に対して、有機認証取得が義務付けられ、トレーサビリティが徹底されることになります JETROレポート17.

EUオーガニックロゴは、EUの厳格な有機農業基準とその実践の信頼性を担保する象徴です。 本稿で解説したように、デザイン要素、法的根拠、認証基準、使用ルール、さらには各国との比較において、EU規格は一貫性と透明性を重視しており、消費者信頼の向上に大きく寄与しています。

また、2023年施行の新規則 (EU 2018/848) は、認証コードの変更や生産地表示、グループ認証制度の導入などを通じて、さらに厳しい基準と透明なサプライチェーン管理を実現するものとなっています。これにより、EU内外の貿易および有機市場は、今後も堅実な成長が期待され、消費者のオーガニック製品に対する信頼はさらに高まると考えられます。

今後の展望としては、電子認証システムの導入拡大や国際的な相互承認協定(特に日本や米国との連携)のさらなる深化が予想され、グローバルな有機市場の標準化と消費者保護の強化が進むことでしょう.


目次

まとめ

  • EUオーガニックロゴは、緑色の葉円形デザインで、欧州旗の12個の星をイメージしており、ロゴの形状やカラースキームは厳格に定められています。
  • ロゴの最小表示サイズは標準で13.5 mm × 9 mm、小型包装では9 mm × 6 mmが許容されており、改変やスタイライズは禁止されています。
  • 法的根拠は、従来のRegulation (EC) No 834/2007およびNo 889/2008から、2023年施行の新規則(EU) 2018/848へと移行し、統一された有機認証制度が確立されています。
  • 認証基準では、有機原材料が95%以上使用されること、合成農薬・化学肥料・GMOの使用禁止、厳格なトレーサビリティが求められています。
  • 各製品には、ISO国コードを用いた認証機関コード(例:DE-BIO-XXXJP-BIO-XXX)と原材料の産地表示(EU AgricultureThird Country AgricultureEU/non-EU Agriculture)が明記されています。
  • 2023年の改正で、認証コードの表記変更、グループ認証制度の導入、電子認証システムの義務化、サプライチェーンの透明性強化が進められ、2025年までの移行措置が適用される点が重要です。
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