商品の値段の前に、包装の値段を考えてみる

紅茶をアルミ袋に詰め、箱や缶へ包装する手作業のイラスト

紅茶をアルミ袋に詰め、箱や缶へ包装する手作業のイラスト

紅茶を一つの商品にするまでに、どれだけのものが必要なのか。

茶葉だけを袋に入れて終わり、ではありません。

まず紅茶をアルミ袋に入れる。袋を閉じる。それを箱に入れる。箱を閉じる。そこへ商品表示やブランドのシールを貼る。商品によっては、さらにシュリンク包装をすることもあります。

店頭で手に取ると、きれいな箱や缶は当たり前に見えるかもしれません。でも、その「当たり前」を作るために、資材と手作業が積み重なっています。

目次

1個の商品に、包装資材だけでいくらかかるのか

ここでは、ある商品の一例として、次の金額で考えてみます。

項目1商品あたりの費用
箱100円
缶500円
シール10円 × 3枚 = 30円
包装資材合計630円

シール貼りは、1枚あたり普通に10〜20秒ほどかかります。1商品に3枚貼るなら、シール貼りだけで30〜60秒です。

人件費を時給1,200円として計算すると、作業費は次のようになります。

シール貼りの時間人件費の目安
30秒10円
60秒20円

つまり、箱、缶、シール3枚、そしてシール貼りの人件費だけで、1商品あたりの費用はおよそ640〜650円になります。

これは、アルミ袋そのもの、封をする作業、紅茶を計量して詰める作業、箱詰め、箱を閉じる作業、シュリンク包装、印刷費、保管費、検品費、配送費などを含んでいません。

言い換えれば、実際の包装関連コストは、ここで計算した640〜650円より高くなります。

紅茶より、包装の方が高くなることがある

茶葉を買うとき、私たちは中身にお金を払っているつもりになります。

もちろん、それは間違いではありません。紅茶の産地、品質、輸入、保管、加工、ブレンド、検品。茶葉そのものにも、たくさんの工程があります。

ただ、箱や缶に入った商品では、外側にも大きな費用がかかります。

場合によっては、紅茶の原価より包装資材の方が高くなる。これは決して大げさな話ではありません。

箱は100円。缶は500円。シールは3枚で30円。ここに作業時間が加わるだけで、もう640〜650円です。

しかも、これは最低限に近い計算です。

なぜスタンドパックが増えているのか

最近は、チャック付きのスタンドパックが増えています。スタンドパックも年々値上がりしていますが、それでも箱や缶を使うより、包装費を抑えやすい選択肢です。

見栄えだけを比べれば、箱入りや缶入りの方が華やかに感じるかもしれません。贈り物としての印象もあります。棚に並べたときの存在感も違います。

一方で、商品を続けて販売するには、価格を無視できません。

中身の紅茶をできるだけ買いやすい価格で届けたい。包装を簡素にしてでも、茶葉に予算を回したい。そう考えると、チャック付きのスタンドパックは現実的な選択になります。

見栄えを取るのか、価格を取るのか。

本当は、どちらも大切です。けれど、資材費も人件費も上がっている今、両方を同じように保つことは簡単ではありません。

箱入り商品が少なくなっていく理由

箱入り商品が減るのは、作り手が美しさを大切にしなくなったからではありません。

箱を作る費用がかかる。缶を作る費用がかかる。シールを貼る時間がかかる。商品を一つずつ仕上げる作業にも、人の手が必要です。

その費用を商品価格へ反映すれば、価格は上がります。反映しなければ、作り手が負担し続けることになります。

だから、スタンドパックへ移行する商品が増えます。

これは、見た目を捨てたというより、商品を続けるための判断です。箱や缶の美しさを残したい気持ちがあっても、毎回同じ形で作り続けられるとは限りません。

包装は、ただの「外側」ではない

包装は、茶葉を守る役割もあります。湿気や光、周囲の香りから中身を守り、運びやすくし、商品情報を伝えます。

同時に、商品を手に取ったときの印象も作ります。

だからこそ、包装を簡単にすればいいとも言い切れません。けれど、包装を豪華にすればするほどよいとも言えません。

大切なのは、紅茶の中身と価格のバランスです。

箱や缶を使った商品を見かけたら、その外側だけでなく、そこにかかった資材費と作業時間にも少し目を向けてみてください。

シールを1枚貼る。袋を閉じる。箱に入れる。箱を閉じる。

一つひとつは小さな作業です。でも、それが何百個、何千個と積み重なれば、商品を作るための大きな時間になります。

それでも、箱や缶を選びたいときに

日常用の紅茶なら、スタンドパックを選ぶ。贈り物や、長く手元に置きたい商品なら、箱や缶を選ぶ。

そのように、用途で選び分けるのも一つの方法です。

箱や缶の商品を選ぶことは、単に見た目を買うことではありません。資材を用意し、手を動かし、商品として仕上げる工程も含めて選ぶことです。

価格が上がることには、理由があります。

そして、価格を抑えるために包装を変えることにも、理由があります。

紅茶を作る側として、その現実を隠さずにお伝えしたいと思います。

数字の前提

上記の640〜650円は、箱100円、缶500円、シール1枚10円を3枚、シール貼り1枚10〜20秒、時給1,200円という条件で計算した目安です。アルミ袋、充填・封緘、箱詰め、シュリンク、印刷、保管、検品、配送などの費用は含まれていません。

実際の原価は、仕入れ数量、資材の仕様、作業工程、設備、人員、契約条件などによって変わります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントを残す

目次